よみがえったゲルマニウムトランジスターラジオの復活

 今回も骨董的な古いトランジスターラジオを修復しました。当時開発された2次電池 ニッケルカドニウム充電池単三型450mA/h の充電池3本直列としてDC:3.6Vの電圧で動作する構造です。二次電池を応用した充電式トランジスターラジオです。国内電機メーカーでは当時外貨を稼ぐためにトランジスターラジオを海外に多数輸出された経緯があります。

現代では2次電池である充電池を搭載した機器は世間に多数存在します。その一例が身近にあるスマホ・タブレット端末ではないでしょうか。骨董的なトランジスターラジオは1.2Vの起電力の充電池を3本直列接続ですので動作電圧は3.6Vですね。よく似た電圧であるリチウムイオン充電池の起電力とほぼ同じ電圧です。以前使用していたガラケーに搭載されていた充電池を使っての改修作業です。

リチウムイオン充電池については次項目に記載してありますので 不要な方は次項目までジャンプしてください。投稿者は 無銭庵 仙人 と申します。誤字・誤記載もあると思います。記述内容も本題からの逸脱も多々発生します。参考程度の愛嬌としてください。


上画像は修復完了した8石ゲルマニュームトランジスターラジオです。中波帯及び短波帯が受信できるラジオです。使われていた部品の製造ロットより量産されたのは1964年-10月以降製造分と判明しました。製造会社は10数年ほど前にパナソニックの子会社として吸収され 消滅した三洋電機製です。型式は 8S-P25 で当時三洋電機で開発量産製造された2次電池 カドニカ電池搭載の1号機です。



ジャンク品としてオークションで入手した現物です。付属品もなく多数箇所に 汚れ・傷。破損個所がある状態で不動品です。内部にあるべき単三型ニッケルカドニウム充電池3本直列接続品は内蔵されていません。廃棄されたようです。もしもあったとしても劣化が進み使用できないと思います。当時付属していた皮ケースもありません。


上画像は入手時のトランジスターラジオの内部構造です。製造後60年弱経過していますのでこれからの修復作業がどのようになるか ! ! は不明からの修復開始です。

入手したトランジスターラジオの仕様として 充電池1.2V×3本 3.6Vの電池電圧で動作します。定電圧電源にて DC:3.6V を電池端子に接続して動作確認します。通電時数十mAの電流が流れ ラジオは中波帯にバンドスイッチに設定しましたが受信できません。VRで音量を上げると小さい音量ですがギューギューと異常発振が確認できました。

このような骨董的な電子回路での機器では 特に電解コンデンサーが消耗品的に故障します。とりあえず分解してパターン面の目視から開始します。


上画像は部品取りつけ面です。内部も相当年月が経過しておりほこり等で汚れています。薄緑色の円筒が問題の電解コンデンサーです。合計7個取り付けられています。コンデンサー容量は120μF/6WV 2個・30μF/6WV4個・5μF/6WV1個 使用されています。交換部品として 220μF/25WV2個・47μF/50WV4個・4.7μF/50WV1個を準備しました。耐圧が大きすぎるかもしれませんが 現在入手できるコンデンサーは小型かつ耐圧が高くなっています。元のコンデンサーの大きさに合わせたため高耐圧品となってしまいました。


上画像はプリントパターン面です。当時手配線構造と思います。ここで注意事項として不良と思われる部品の交換に際しダイアル糸が問題です、はんだごてを使って交換する場合 はんだごての熱でダイアル糸を溶断する可能性があります。ダイアル糸は現在簡単には入手できませんね。そこで左側の滑車からダイアル糸を外してマスキングテープなどを使い養生します。これでようやく内部の部品交換が可能となります。5~60年経過する電子機器では必ずと言ってよいほど電解コンデンサーの不良確率は高い部品です。これらを全数交換後本題の修復作業がベストと思います。


上画像は交換した各種電解コンデンサーです。このうち120μF/6WV1本 から電解液漏れが確認できました。使われていた電解コンデンサーにはマイナス極を表す表示が黒い小さなドットでしたので元に戻す場合極性に注意してください。


上画像は電解コンデンサー全数交換後の基板部品取りつけ面です。

次に多いのはスイッチ類の接点不良です。この機種ではバンド切り替えスイッチとして分解できる構造です。充電用電源トランスは除去しました。左下の角穴が電源トランス取りつけ場所です。


上画像はバンド切り替えスイッチを分解したところです。6回路分の接触金具がプリント基板にある接触する部分がプリントパターンの一部となっていました。接触点を磨きそのあとシリコングリスを塗布します。ここで失敗しました。スライドスイッチを固定しているスプリングを1個紛失です。同じような部品工作に手間取りました。この作業によりバンド切り替えスイッチ修復完了です。画像左上にあるトランスが充電用電源トランスで除去。右横が出力トランスです。これは残します。出力トランスの右側はブリッジダイオードですので不要のため除去しました。

電解コンデンサーを交換すると低周波部では回路にピンセットを接触すると音量も大きくなり異常発信はなくなりました。低周波部初段の5μF/6WV は完全容量抜けでした。低周波部では4個の電解コンデンサーが故障状態であったと思います。不思議と中波帯が受信できます。AVCフィルター回路の電解コンデンサーも交換済みですので受信良好です。高周波部は生きていたようです。屋外にラジオを持ち出し7MHz帯のアマチュア無線SSB方式の電波も受信できました。455KHz IFおよびトラッキングずれも大きく変化はなさそうです。

ダイアルの指針である赤色の塗装がはがれています。赤色に印刷されたプラスチックフィルムを指針に両面テープで接着し指針も元の色に戻しました。

一応ラジオとしての機能が回復しましたので これからはリチウムイオン充電池構造に改造作業です。



上画像は元々取り付けられていた部品を撤去後新規配線しています。カドニカ充電池からリチウムイオン充電池に改造個所です。当初次項目で説明している円筒型リチウムイオン充電池18650型を検討しましたが 単三型ニッカド電池よりも直径が大きくこのラジオ本体内には搭載できるスペースがないため断念しました。そこで携帯電話機に搭載されていたリチウムイオンポリマー電池であれば平型であり遊休スペースが確保できるため選択です。撤去部品として不要な充電用電源トランス・全波整流用ダイオード。ネオンランプなどは取り外しました。この機種は裏ブタにAC:100V の受け口があります。充電コードも今となっては入手できません。そこで今回は以前使っていたガラケーの充電器を使って搭載したガラケーに内蔵されていたリチウムイオン充電池 3.7V/790mA/h を充電する構造に変更です。現在裏蓋にある充電用の口は使用しません。裏ブタ右下にACアダプター用受け口を7.5Φ穴を開穴して取り付けます。もともと充電標示用ネオンパイロットランプは除去します。その穴に白色高輝度LEDを充電表示ランプとして取り付けました。ここで小細工があります。充電用ACアダプターを本体に接続して充電中はLEDは点灯するが ACアダプターを抜いた場合は消灯する構造としなければなりません。コネクターのプラス極からダイオードを経由して充電池に充電する構造としました。充電用入力コネクターにLEDは並列接続としアダプターを接続した場合点灯しますが 通常時ダイオードの逆止弁働きにより内蔵電池からはLEDは点灯しません。5Vの入力でのLED定電流抵抗は27KΩであり 点灯電流は実測 85μA です。通電表示ランプとしては実用性があります。

ここでガラケー・スマホなどに搭載されていたリチウムイオンポリマー充電池の構造は !


上図は携帯電話機などに搭載されていたリチウムイオンポリマー電池で廃棄となった携帯電話機から取り出した電池各種です。定格 3.7V 790mAh 3.0Wh 充電池内部には 充電制御・保護回路が内蔵されています。18650型生電池であれば充電・放電制御回路が必要ですが 今回採用した充電池の場合 生電池単体品ではありません。プラス極とマイナス極に DC:5V を接続するだけで充電が完了すれば内蔵保護回路動作により充電電流が流れなくなり充電は終了します。ただ直接5Vをつないだ場合充電電流制御回路は無いように思いました。そのため充電電流の最大値は電池容量電流値を超えないように設計することをお勧めします。急速充電は電池本体の寿命を短くする恐れがあります。0.2C~0.5C以内とすることを推奨します。普通充電・充電電流0.1C前後とし充電時間を長くとることです。今回の場合充電電流を制御するため ACアダプターに 2.2Ωの電流制限抵抗を挿入し電流チェック端子としても可能なようにしました。充電電流は250mA程度で充電します。充電完了近くとなると電池電圧上昇に伴い充電電流は少なくなります。電池容量が少ない場合から満充電となるまでの充電時間は理論上3時間ほどと計算できます。充電中電池電圧変化により電流は一定電流ではありません。使用した携帯電話機ACアダプターの規格は DC:5.6V/700mA です。今回充電表示ランプをLEDとしたためシリコンダイオードを回路に直列に挿入しました。シリコンダイオードの順方向電圧は 約0.6V であり電圧降下が発生します。電池充電電圧が丁度 DC:5V になり好都合でた。通常通常携帯電話機を充電するACアダプターは DC:5V が標準ですので 今回使用したACアダプターは少し電圧が高いように思います。次項目でも説明していますがリチウムイオン充電池の場合 安全に動作可能な電圧範囲は 充電終了電圧 DC:4.2V, 放電終了電圧 DC:3.3V この範囲内電圧で使用することが充電池を長持ちさせる使い方です。


まとめ

何とか60年近くなるゲルマニウムトランジスターラジオですが この現代に復活しました。やはりキャビネットのプラスチックも劣化があります。少しの力で破損しました。2液混合エポキシ樹脂で数か所接着修復してあります。ロッドアンテナも先端が破損していました。代用品金具を加工し先端欠損部は修復しました。ニッカド電池代用品として 単三型ニッケル水素充電池(エネループ)での修復も模索しましたが 多数遊んでいるガラケー用途のリチウムイオン充電池を使った改修作業となりました。裏板には充電池収納個所として平らな面を作るため 3tのゴムマットを接着し そのゴムマットに充電池は両面テープで接着固定です。その他各箇所間に接続している細いビニール絶縁電線が経年劣化が発生しており 修理中に電線の硬化による断線が発生し新しいビニール絶縁電線に交換してあります。

通常道楽部屋ではこれまた骨董的な真空管アンプシステムで音楽などを常時聴いています。やはり当時のトランジスターラジオの音は再生帯域は広くありません。スピーカーも小型です。AM(振幅変調)放送は元々音質の悪い電波形式です。その後FM放送が普及し1970年以降FM民間局数も増加し ステレオ放送で臨場感・音質も改善されました。現代の音源伝送は電波を使って伝送する場合地デジを含めほとんどデジタル信号です。携帯電話においてもデジタルです。中波帯のAMラジオ放送はいまだにアナログ放送です。音源再生の最終装置として多用している 100ℓフロア型ステレオスピーカーでの使用頻度も多く 駆動は真空管式ですが今日のデジタルシステムの音質には負けません。お遊びでのゲルマニウムトランジスターラジオ修復となってしまいました。現代では当時のトランジスターラジオでラジオを聴く機会はほとんどないと思います。昭和全盛時代・高度成長期へ入り口の時代の音が再生され懐かしく思い出すことができました。スマホ・アイポッドに慣れた若者たちには聞いたことのない未知の音質と思います。

1970年代のお話です。中央競馬会の場外勝ち馬投票所をご存じでしょうか。通称場外馬券売り場です。馬券売り場付近には競馬新聞と今回修復した短波が受信できるトランジスターラジオでイヤホンを使い必死に聞き入っていた風景が思い出されます。当時競馬の実況放送は短波帯でした。NSB受信専用クリスタル内蔵の短波ラジオも存在します。今やばくちも情報化時代でオンラインで購入でき インターネット・TV放送でリアルな画像も見入ることができる時代となっています。


上図は右側今回修復完了した 8S-P25 と左側は40年後製造されたポケットラジオ RP-CD2S(K) です。20年ほど前に一時間半ほど電車通勤時に愛用していたポケットラジオです。現在でも正常に動作します。内部詳細は後程。


無銭庵仙人の独り言

製造後約60年弱経過するトランジスターラジオの音を懐かしく思いました。決して音源の帯域は広くありません。歪っぽい音ですが懐かしく当時を思い出しました。ダイアル目盛りの周波数は KC/MC とサイクル表示であり 現在使われている Hz 標示ではなく表記が異なります。使われているねじ類は ISO規格品ではなく旧 JIS規格ねじが使われています。終戦後高度成長時代を代表する国産ゲルマニュームトランジスターラジオの音です。大規模災害発生時など有効性のある中波帯ラジオも準備されてはいかがでしょうか。スマホなどであれば基地局電力喪失となれば運用することができませんね。よほどのことがない限り中波帯の放送局は停波しないと思います。

今回修復したゲルマニウムトランジスターラジオですが当時の電池容量は 3.6V/450mA/h でしたが今回搭載したリチウムイオンポリマー充電池では 3.7V/790mA/h 容量です。2倍の容量とはなりませんがラジオとして十分活用できる改修となりました。

無信号時の消費電流 18mA  ラジオを受信して音としては歪むが最大音量時 170mA  通常スピーカーを鳴らしての運用時  40mA以下   電池容量値より連続動作時間は平均電流40mA程度とすると 790mA/30~40mA=約20時間以上動作可能と思います。

もしもダイアル糸が切れた場合の修復方法

近くにホームセンターなどがあれば代用品のダイアル糸を見つけ出すことができます。それは工具などを陳列している場所にあると思います。名称は 水糸 です。建築現場で基準線として用いる糸でカラフルな種類の色があります。トランジスターラジオなどでは代用品として活用できます。糸の強度もあり糸の太さも数種類ありますので真空管ラジオのダイアル糸架け替えには太めの糸も販売されています。


上図はDIYに使用している蛍光ピンクの水糸です。ダイヤル糸として代用できます。現場でひっかけたりしますが なかなか丈夫な化学繊維の糸でできていますので切れません。

主だった回路構成

2SA221 アンテナ入力信号増幅および局部発振混合, 2SA222 中波帯・短波帯局部発振, 2SA322 中間周波増幅1段目, 2SA321 中間周波増幅2段目, 1N60 音声検波およびAVC回路, 2SB188 音声電圧増幅, 2SB186 音声電圧増幅および位相反転トランス駆動, 2SB22×2 電力増幅出力トランス駆動, スピーカーおよびイヤホン駆動,  (電力増幅トランジスターについては放熱板が取り付けられており目視確認できておりません 多分 2SB22または 2SB187 プッシュプル回路と思います)

スビカー駆動電力は無歪で150mW程度 歪が多いが最大出力電力は300mW程度と思います。


上図は裏ブタを外した RP-CD2S(K) の画像です。音質については初期のトランジスターラジオに比較してよくなりました。電源は単四型乾電池2本で動作します。中波帯とFM放送が受信できるラジオでイヤホンがFM受信用アンテナとなります。入力トランスおよび出力トランスは使われていません。半導体は集積回路ICを使っており抵抗はチップ型抵抗が多用されています。AM受信用バーアンテナも小型となっており 今回修復した 8S-P25 の方が感度が良いと思います。


上図は本体から分解しました。超小型スピーカーも搭載されており本体の大きさは 92mm×55mm×12mm の大きさで電池を含む重量はソフトケース及びイヤホンを含めても91gと軽量です。満員通勤電車でカッターシャツのポケットに入れて愛用していました。


上図は機器銘板です。消費電流はイヤホン使用時 AM,FM 共 3V-50mA  程度消費します。乾電池の種類にもよりますが運用時間は20時間ほどと思います。

現在ラジオの使用頻度はほとんどありません。道楽部屋では真空管アンプシステムで音楽などをBGMとして聴いていますが 屋外などではデジタルボイスレコーダーを使い 音源は PC から本体メモリー又はSDメモリーに転送し ポータブルヘッドホンステレオとして愛用しています。




上図はPCM録音ができるデジタルボイスレコーダーをヘッドホンステレオとして愛用している機器類です。左側より ICR-S280RM(内蔵1GB), ICR-PS401RM(内蔵4GB+μSD16GB), ICR-PS511RM(内蔵4GB+μSD16GB),  ICR-PS1000M(μSD16GB), で単三・単四エネループ充電池1本で10時間ほど動作するヘッドホーンステレオです。ウォークマン・アイポッドなどのヘッドホンステレオでは充電池が消耗すれば充電しなければ使えません。ところが上図の機器であれば予備電池があれば継続使用できます。又緊急時汎用品の乾電池でも動作しますので コンビニ・百均などで簡単に汎用乾電池が入手できます。

上図4台はCDフォーマットのwave,MP3ファイルでステレオ音源が録音できる録音機(レコーダー)です。デジタルウォークマン・iPod などの再生機能のみであるデジタルヘッドホーンプレーヤーと同様に音楽再生プレーヤとしても使えます。別ブログでポータブルデジタルプレーヤーの音源を大きなスピーカーでも駆動できるICステレオアンプ工作もブログを投稿してありますので興味のある方は覗いてください。     musenan02.blogspot.com



by musenan sennin


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